~日本への食料資源サプライチェーンの強靭化を目指し、ブラジルにおける大豆・トウモロコシの生産性向上とトレーサビリティ確立に向けた小規模実証事業、およびモザンビークにおけるゴマの環境保全型生産とバリューチェーンのデジタル化に向けたFS事業を実施~
~日本への食料資源サプライチェーンの強靭化を目指し、ブラジルにおける大豆・トウモロコシの生産性向上とトレーサビリティ確立に向けた小規模実証事業、およびモザンビークにおけるゴマの環境保全型生産とバリューチェーンのデジタル化に向けたFS事業を実施~
国内外でAIを活用した農業ソリューションe-kakashi(イーカカシ)の提供を行うグリーン株式会社(本社:東京都港区、代表取締役 CEO: 戸上 崇、以下、グリーン)の提案する「ブラジル連邦共和国/大豆・トウモロコシのサプライチェーン強靭化実証事業」および「モザンビーク共和国/持続可能な油糧作物バリューチェーンのデジタル化に向けた調査事業」が、経済産業省の実施する令和5年度補正「グローバルサウス未来志向型共創等事業費補助金(我が国企業によるインフラ海外展開促進調査)」に採択されました。
ブラジルでは、南部のリオグランデ・ド・スル州における持続可能な大豆・トウモロコシの生産性向上とサプライチェーン全体のトレーサビリティ確立に向け、IoTセンシングや衛星画像解析の技術を活用して栽培・品質管理を行うビジネスモデルの技術的な有効性や事業性を検証します。
一方、モザンビークでは、北部のナカラ回廊地域に位置するナンプーラ州において、IoTセンシングや衛星画像解析の技術にバイオ炭を組み合わせた環境保全型ゴマ生産モデルとバリューチェーンのデジタル化について、技術的な有効性や事業性を検証します。
なお、実施期間については、両事業とも本年6月開始を目途に2026年2月末までの9ヶ月間を予定しています。
■提案の背景と事業内容
1)ブラジル(対象作物:大豆、トウモロコシ)
⽇本は⼤⾖・トウモロコシのほぼ全量を輸⼊に依存していますが、主要供給国である⽶国に対する依存度が高く、供給リスクの分散を図る必要があります。事業実施国であるブラジルは、⼤⾖の⽣産量・輸出量で世界最⼤、トウモロコシでは⽶国に次ぐ第2 位の⽣産国ですが、近年の異常気象による⼲ばつや洪⽔、農地の拡⼤に伴う森林破壊が進⾏するとともに、⼟壌劣化、農薬使⽤の増加が環境への⼤きな負担となっています。
このような状況の下、本事業では、IoT センシングと衛星画像解析を活⽤した環境保全型スマート農業技術、具体的には栽培アルゴリズムによる収穫適期や病害虫の発生予測と潅水管理の最適化技術を同国における⼤⾖・トウモロコシ⽣産に導⼊することで、⽣産性・収益性の向上を図るとともに、減農薬や節水、土壌保全を通じて環境負荷を低減させ、加えて⽣産から流通に⾄る過程のトレーサビリティの確⽴を通じて、⽇本への大豆・トウモロコシ・サプライチェーンの強靭化を⽬指します。
なお、本事業は、グリーンと連携の実績がある国際熱帯農業センター(Centro Internacional de Agricultura Tropical: CIAT、本部:コロンビア)、および現地のスタートアップであるクロップス・チーム有限会社(Crops Team Serviços de Consultoria, Pesquisa e Desenvolvimento LTDA)等と、コンソーシアムを形成して実施します。
(ブラジルにおける持続可能な大豆・トウモロコシ生産モデルのイメージ)

2)モザンビーク(対象作物:ゴマ)
⽇本の年間ゴマ消費量は2022年時点で約18万トンで、そのうち99.9%を輸⼊に依存しています。事業実施国であるモザンビークは、ナイジェリア、ブルキナファソ、タンザニアに次ぐ第4位のゴマ輸⼊先であり、⽇本の総輸⼊量の8.6%を占めていますが、気候変動の影響を受けやすい伝統的な農法に頼っていることが収量や品質向上の妨げとなっています。また、⾷品の安全性においても、ポストハーベスト(収穫後)の過程におけるアフラトキシン(カビ毒)汚染や農薬残留といった問題が存在し、輸出市場への参入障壁となっています。
このような状況の下、本事業では、IoTセンシングや衛星画像解析にバイオ炭を組み合わせた環境保全型スマート農業技術、具体的には栽培アルゴリズムによる収穫適期や病害虫の発生予測と、バイオ炭による土壌肥沃度改善を同国におけるゴマ⽣産に導⼊することで、⽣産性・収益性向上と減農薬や土壌保全による環境負荷低減の両⽴を図ります。加えて、⼩規模農家によるゴマの⽣産履歴や倉庫管理のデジタル化を推進することでポストハーベスト・ロス(収穫後損失)を抑え、日本へのゴマ・サプライチェーンの強靭化を⽬指します。
なお、本事業は、モザンビーク北部で長年事業を展開している⽇本植物燃料株式会社、および同社の現地法人であるモザンビーク発展のためのアグロビジネス株式会社(Agro-Negóciopara o Desenvolvimento de Moçambique, Limitada.:ADM)と、コンソーシアムを形成して実施します。
(モザンビークにおける環境に配慮したゴマのバリューチェーン・デジタル化のイメージ)

■案件形成時の一コマ

日本・ブラジル経済フォーラムでのコンソーシアム覚書発表

モザンビーク北部ナンプーラ州のゴマ生産現場

対象候補の穀物保管倉庫

対象候補のコミュニティーでの農家インタビュー_画像一番右が花井CPO