CASE STUDY導入事例

 

はじめに

久山町では2022年3月に「カーボンネガティブ&ネイチャーポジティブ」を宣言し、持続可能な脱炭素社会の実現に向けて産学連携で複数の取り組みを実施しています。その取り組みの一環として2022年からe-kakashiを活用した二酸化炭素吸収量の推定・見える化する共同の実証実験を行っており、早生桐(そうせいぎり)の二酸化炭素推定吸収量はデジタルサイネージで町民にも公開されています。

 

稲刈り・田植えを体験だけに終わらせない お米の生育から食や町を考えるきっかけに 

久山町では町立小学校の5年生の総合学習として田植え・稲刈りを行っており、地域の生産者の方々の協力を得ながら、学校横の田んぼでお米を栽培しています。2023年からこの田植え・稲刈り学習において、ICTを活用してお米の生育を理解することや、食や町への景観への関心を醸成することを目的として「e-kakashi」の教育分野での活用を始めました。

6月下旬の田植え後、圃場にはe-kakashiが設置され生育データの取得を開始しました。

久山-1



町立小学校で特別講義の実施 農業と食と環境のつながり

田植えから約2週間後の7月7日、町内の山田小学校と久原小学校の5年生に向けて特別授業が行われました。

e-kakashiの事業責任者である戸上から「ハンバーガーを作るのに必要な水の量は?」「一粒のお米から何粒のお米ができるだろう?」などの身近な生活から農業や食べ物の生産について考える質問では、積極的に自分の意見を発表する様子が見られました。e-kakashiがどんなデータを集めるのか学び、おいしいお米を作るために自分たちができることは何なのか「自分ごと」に落とし込んでいき「体験」だけに終わらせない議論をグループで行いました。

授業後の感想では、「食べ物をつくるのに必要な水の量がこんなに多いとは思わなかった」や「植物が何を伝えたいかがわかるのがおもしろかった」「日本のお米を大切にたべたい」など生徒それぞれの視点からの感想が寄せられました。

 




昇降口から見えるお米の生長

夏休み明け、田んぼに設置したe-kakashiのデータをリアルタイムでみることができるアプリが生徒のタブレット端末に導入されました。また、昇降口には、全校生徒も閲覧できるデジタルサイネージが設置されました。

生徒の皆さんには、生産者さんがどのようにアプリを使って栽培しているかを体験できる環境を提供しました。デジタルサイネージでは、カーボンネガティブ&ネイチャーポジティブな取り組みの一つとして、町内の田んぼ面積と小学校に設置したe-kakashiデータをもとに、久山町全体の田んぼがどの程度二酸化炭素を吸収しているのかの推定量も合わせて表示しました。

アプリの導入やサイネージの設置後、生徒からは“お米の生育や味に環境が与える影響″や“e-kakashiの仕組み”にいたるまで幅広い質問が寄せられました。

 

 

 

【担当者インタビュー】今回の取り組みの魅力は「直接できるコミュニケーション」

本取り組みに町役場の職員として携わった佐伯さんにインタビューを行いました。

佐伯栞さん(久山町役場 経営デザイン課)

「今回の取り組みにおいて、開発者がゲストとして直接授業をする機会があったことが子どもたちにとって、e-kakashiをもっと身近に感じるきっかけになったと感じています。数字が見えるだけだと大きな関心は湧きにくいと思いますが、数字が教えてくれることを開発者から聞くことで、導入後もデータを通じて開発者の言葉を思い出してくれたと思います。データに興味を持つ子もいれば、植物やセンサなどの仕組みに興味を持つ子もいて、自由に興味を持ち、それぞれの角度から農業や食について考えるきっかけになりました。また、アプリ導入とサイネージ設置後に生徒から質問を募集したときは、開発者が直接質問に答えるということもあって、多くの質問が集まり、中には専門的な質問もありました。アプリの導入と出前授業をセットで行うことで、データを介した開発者や植物とのコミュニケーションにつながった事例は、今後のDX推進の大きなヒントにもなりました。」




久山町 西村町長からのコメント

第4次産業革命時代を生き抜く子どもたちにとって、ICTやAIとの付き合い方を知ること、考えることは重要なことだと捉えています。久山町では、その一環として、身近な困りごととデジタルとの接点をつくり、解決できるという実感を得る機会づくりを進めています。今回は、自然の大切さなどを感じられる新たなきっかけを提供することと将来に向けたエシカル消費の価値観醸成も含め、学校教育の中でも活用することにしました。デジタル機器や収集したデータを使って何ができるようになったのか、手元のアプリや玄関のサイネージによって、目に見える形で体験できたことは、ICT教育の大きな進歩だと感じています。

これは、行政だけでは実現が難しいことでもあったので、産官学連携により生まれた新たなサービスの形としても興味深い実証でした。




過去の関連記事はこちら

・読売新聞オンライン

   食の大切さ 先端技術と学ぶ  久山の2校 ソフトバンクが講座 (2023.07.08)

https://www.yomiuri.co.jp/local/fukuoka/news/20230707-OYTNT50112/

・久山町発刊 

 広報ひさやま(2023年8月号)

 米作りにデジタルを ソフトバンク出前授業(4ページ)

http://sv_pc.ecocat-cloud.com/lib/ecolab/export/868b28dc_aa212a6c/book.html?bid=3636&startpage=1&url=http://sv_pc.ecocat-cloud.com/&key=b1ff4f718ffe5904cd34084b0fd1d78d&callback=afterComp

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